黄斑浮腫とは?
黄斑浮腫とは、網膜の黄斑(網膜の中心にある、直径1.5~2mm程度の部分で、視野の中心であり、物をよく見るときに使う)に液状の成分が溜まり、むくみを起こし、視力が低下する病気のことを言います。黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血、ぶどう膜炎など、いろいろな病気から引き続いて起こることがあります。これらの病気で、血管からの水分の漏れが多くなると、網膜の浮腫(ふしゅ=むくみ)として発症します。 この浮腫が続くと、だんだん網膜の神経が傷み、視力の低下や変視症(物がゆがんで見える)、霧視(視野が霧ががったように見える)、などの症状が出て来ます。
黄斑浮腫の検査
視力測定、眼底検査のほかに、OCT(光干渉断層計)の撮影が役立ちます。視力は、網膜の引きつれ(しわ)の程度を反映する指標として重要です。眼底検査では、黄斑部の網膜の上にある膜やそれにより生じた網膜の引きつれを観察します。これらに加え、OCTでは、網膜の断層像が撮れます。OCTでは、浮腫の形状や範囲をより正確に観察することができます。
黄斑浮腫の治療
黄斑浮腫の治療法はいくつかあります。 まず黄斑浮腫を引き起こした原因となる病気の治療が必要です。それにより浮腫がすぐに解消すればよいのですが、なかなか解消せず浮腫が続くと、だんだん網膜の神経が傷み、機能が戻らなくなってしまうことがあり、進行しないために対症療法を行います。
対症療法について
ステロイドの局所注射
ステロイド(副腎皮質ホルモン)には、血管からの液体成分の滲み出しを減らし、黄斑の浮腫を減らす効果があることが知られています。そこで作用が長期間続くステロイド製剤を結膜下(白目の部分)に注射します。 目薬で麻酔し、細い針を使って、白目の部分から薬剤を注入します。時に副作用で眼圧が上昇することがあるので、目の状態をチェックするため、後日、再度受診していただき確認します。 1回の注射の効果は数ヶ月が限界で、黄斑浮腫が再発すれば注射を繰り返す必要があります。
レーザー光凝固術
眼底の様子を立体的に把握できる細隙灯顕微鏡を用いた検査や蛍光眼底検査により、毛細血管から水分が滲み出している場所(毛細血管瘤)や血液が漏れ出ている箇所(漏出点)を確認し、その箇所をレーザー光凝固術で凝固します。
抗VEGF阻害剤硝子体注入(ルセンティス・アイリーア)
抗VEGF阻害薬を眼内に注射することにより、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を抑制します。黄斑浮腫は、網膜内の毛細血管から血液成分が漏れ出すのを促すVEGF(血管内皮増殖因子)という物質によって引き起こされます。このVEGFの働きを抑える薬を眼内に注射することで血液成分の漏れを抑制する治療法です。当院ではルセンティス・アイリーアの硝子体注射を行っております。